山田拓司准教授と大阪大学 大学院医学系研究科の谷内田真一教授、慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任教授、国立がん研究センター・中央病院 内視鏡科の斎藤豊科長らの研究グループは、胃がんの治療として胃切除の手術を受けた患者を対象に、凍結便を収集しメタゲノム解析やメタボローム解析を行いました。

腸内細菌は、病気の発症や進行だけでなく術後の病状にも関与しています。本研究では、胃切除後の患者の併発症や栄養状態などの改善を目的として、これまでほとんど解明されていない、胃切除の影響による腸内細菌叢の構造や代謝物質の変化を調べ、術後の併発症との関連性を検討しました。その結果、胃切除術を受けた患者は健常者と比較して腸内環境に大きな違いがあり、大腸がんと関連する細菌や代謝物質が増加していることを明らかにしました。この成果は、便検体を用いて腸内環境を評価することにより、胃切除後の併発症の要因を理解し個々人の腸内環境を評価することで、胃切除後の併発症の予防や治療に貢献する医薬品などを生み出す可能性を示すものです。本研究は1月17日に英国学会誌「Gut」に掲載されました。詳細はこちら