こんにちは。
今月は乳酸菌の研究テーマについて、少しご紹介します。

私たちの研究講座では「食と地域のブランディング」という最終的な目標を達成するために、地域で特色のある「食」を科学することで、地域の特徴を見つけ出せないだろうか、と考えています。

そこで選んだのは、地域によって独特の製法があり、また、伝統的な野菜が原料として使われることもある「漬物」です。様々な漬物が世の中にある中で、乳酸発酵を利用した漬物は日本で流通している漬物のわずか0.1%ともいわれています(※)。こうした、漬物界では希少な存在である乳酸発酵漬物を作られているメーカーの方々に、研究の主旨を説明しながらご協力を仰いでいるところです。これまでに、全国の19のメーカー様からご協力を得ることができました。
私たちとしては、乳酸発酵を利用した漬物の良さをこの研究を通して発信していくことで、この0.1%を少しでも大きくしていくことができればと思っています。

研究の方針としては、漬物を作るときに働いている乳酸菌にどんなものがいるのか、そしてその乳酸菌が持つ遺伝的な特徴にはどういったものがあるのかを調べることで、地域ごとに乳酸菌の特徴を明らかにしていこうと考えています。


写真は漬物の製造過程で働いている微生物を培養したものです。紫色は培地の色で、白っぽい点の一つ一つが微生物の集まりです(コロニーと呼びます)。点の周りが黄色くなっているものは、乳酸を作っている可能性が高い菌であること(=乳酸菌である可能性が高いこと)を示しています。見た目だけでは分かることが少ないですが、ここからゲノムを抽出して、それぞれの菌の特徴を明らかにしていきます。

※『漬物学』前田安彦著 幸書房 を参照