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秋田県の食文化

秋田県(久保田藩、岩崎藩)の食文化

調査班:城間、玉木、長谷川  調査日:2017年3月13-14日

目次

1. 風土・歴史

2. 調査した郷土食

2.1. ハタハタ寿司
2.2. 味噌・醤油
2.3. いぶり漬け
2.4. その他の郷土食

3. 最後に

1. 風土・歴史                    次へ 目次

気候

秋田県は日本海岸気候に属します。日本海側には暖流の対馬海流が流れていて、暖かく湿った空気を運んできます。しかし、冬になるとユーラシア大陸からの冷たく乾燥した風が対馬海流の湿った空気を冷やし、雪を降らせます。このため、冬は気温の割に雪がとても多く、世界有数の豪雪地帯となっています。東日本大震災のあった冬は非常に雪が多かったそうなのですが、この冬(2016年〜2017年)は例年に比べてかなり雪が少なかったそうです。

地形としては、東側を奥羽山脈が南北に走り、西側を花輪盆地、大館盆地、横手盆地などの盆地が広がっています。男鹿半島は日本海側に約30 ㎞突出し、八郎潟によって本土とつながっています。こういった地形的な違いにより、日本海側より内陸部で雪が多い傾向にあります。今回の調査では3月中旬に秋田を訪れたのですが、男鹿市のような日本海側では雪は積もっていませんでした。一方、湯沢市や横手市のような内陸部ではまだ雪が積もっており、県内でも地形による気候の違いを感じることができました。また、秋田は日照時間が短いことで知られています。実際に秋田に行ってみて、街中で色白の秋田美人を見ることが多かったので、日照時間の短さは秋田美人と関係しているかもしれませんね。

 

 3/13に訪れた男鹿市の海岸(左)と3/14に訪れた湯沢市の院内駅(右)

 

 

毎日3-4回の雪下ろしが普通というほどの豪雪地帯である湯沢市。雪の重みで蔵がつぶれないように屋根は頑丈に補強されています。今回調査協力頂いた石孫本店では2011年の東日本大震災の時、大切な5つの蔵のうち1号蔵が雪の重さもあり倒壊してしまったそうです。

風土

西は日本海に面し、東は山々や盆地が広がっていることから、ハタハタのような海の恵みや、地大根のような山の恵みともに豊富です。そういった良質な食材を活用した郷土料理、伝統料理があり、古くから「食の宝庫」と呼ばれて来た地域の一つです。特に、冬が長く、雪も多いため、いぶり漬けと言った漬物や味噌など、様々な種類の発酵食品が保存食として多いのが特徴です。日本有数の米どころでもあることから、酒造りも盛んです。1人当たりの清酒消費量ランキングは新潟県に次ぐ全国2位となっています。また、今回調査にご協力いただいた方のお話では、秋田の人は濃い味やねばねばしたものを好むそうです。

(玉木、長谷川、城間)

2.1. ハタハタ寿司           前へ 次へ 目次

ハタハタ寿司とは

ハタハタ寿司とは、ハタハタと米と野菜を麹を用いて発酵させた食べ物です。今回お話を伺った三高水産のある男鹿市では、ハタハタの収穫量が多く、当時は冷蔵庫がないため保存期間を伸ばすために作られたとされています。秋田県内でも地域ごとに製造法が異なり、三高水産では60年前ぐらいに漁師の妻が考案したハタハタ寿司の製造法をベースに、北陸で作られていたかぶら寿司の製造法を参考に改良したそうです。ちなみに、男鹿市が属する秋田県北部では酢を、中部では、麹と乳酸菌を、南部だと麹をベースにハタハタ寿司が作られるそうです。米や野菜が多くとれる中部、南部では、これらをハタハタ寿司に混ぜ込むことで保存期間を伸ばそうとしたのかもしれません。

 

昼ごはんを食べ損ねてしまいましたが、ご厚意で取材時に、ハタハタ寿司を頂きました。三高水産のハタハタ寿司は、ハタハタが多いことが特徴の1つです。とてもさっぱりしていておいしかったです。

作り方

まず、ハタハタの頭・内臓・尾を取り除き、血抜きした後に食塩と酢で漬け込み下準備をします。次に、このハタハタを3つに切り、カブなどの野菜やしょうが、米糀を桶にミルフィーユ状に重ねて発酵させます。このとき桶の上に重石をのせますが、発酵スタート時の10 kgから20、30 kgと徐々に重しを増やしていきます。実際に発酵させている桶がある冷蔵庫を見学させてもらいました。部屋の温度は常に2-3℃に保たれていますが、空調の当たり具合により、発酵しやすい場所とそうではない場所があり、それを考慮して作業を行っていました。発酵時期の見極めは、社長ともう一人の目利きの方の2人で行っているそうです。発酵時に桶からあふれる液体はハスと呼ばれており、その量やpHから発酵の進行具合を把握して、漬け込む時間を調節していました。

 

三高水産の夏井勝博社長に、実際に重しをのせて発酵させている部屋へ案内して頂き、発酵の様子を丁寧に説明して頂きました。見学時には発酵期間の最後の方で、重しである水の量が多かったです。

ハタハタ寿司の文化との関わり

正月によく食されていますが、なまはげ祭り(12月31日)のときの一品料理としてハタハタの塩漬けなどと一緒に食 べられることもあるそうです。現在ではハタハタは高級魚ですが、当時は安価な魚であったため、庶民の方も食べていました。今でも60代以上の方がよく食べており、70代ぐらいのおばあちゃんが各家庭で作るそうです。

今回取材させていただいた三高水産の事務所兼工場。実はハタハタ寿司だけでなく、海藻の「ギバサ」や「とろとろわかめ」も製造していました。お土産として頂いた「ギバサ」と「とろとろわかめ」は家族で美味しく頂きました。

(城間)

<調査協力>

株式会社 三高水産
秋田県男鹿市船川港双六館山122
http://sanko.akita.jp/

 

 

 

 

2.2. 味噌・醤油            前へ 次へ 目次

秋田味噌・醤油とは

秋田味噌は、米どころの秋田県のため、米麹の割合が高く贅沢な味噌の傾向が強いですが、地域によって麹の比率は異なり、地域色が出ています。最近は麹歩合が多くなってきている傾向があり、食塩分もだんだん低くなっているので甘口化傾向にあります。色は分類上、赤系辛口みそに属しています。淡色系に近い中間色で、山吹色または黄金色といわれていますが、赤色系から淡色系の間で種類に富んでいます。秋田醤油も地域によって特徴が異なり、地域性に富んでいます。

今回は安政二年創業、保存料・添加物を一切使わず、材料にもこだわり抜いた天然醸造味噌・醤油を手造りしている石孫本店さんを訪問してきました。

石孫本店のある秋田県湯沢市は、かつて日本最大だった院内銀山のおかげでとても栄えていました。そのため、消費者が多く、醤油の需要も高まっていました。そこで、水質がよく、降雪のおかげで大気が清澄していて天然醸造に適した、湯沢の風土を生かして醤油づくりを開始したそうです。味噌は本来各家庭で作るもので、購入する習慣がなかったため、味噌づくりは後から始めたそうです。

道具とともに守り続けてきた手造りの味

昭和から徐々に同業者では機械化が進み、今日でも醤油の手造り醸造を続けているのは石孫本店さんだけ。蔵人の負担を削減する機械が発達する中、大変な手造りを続ける理由のきっかけはある雑誌の取材だったそうです。「全国でもこんな伝統的な作り方をしているのは石孫さんだけです!」と褒められたことで、「味噌・醤油を作るだけではなく、伝統製法や道具を残していくことが自分たちのつとめでもある」と気づかされたそうです。

石孫本店さんで使われている道具の多くはどれも木がすり減るまで使い込まれていました。しかし、新調しようにも現在では道具を作るための良い材木も職人さんもいないそうです。そのため、先代から受け継いだ道具を大切に使っています。

手造り技術の賜物ともいえる玄米100%で作った減塩味噌を紹介していただきました。通常の玄米味噌は玄米30%程度、残りは白米の麹で作り、減塩しすぎると殺菌面の問題から失敗しやすいといいます。しかし、石孫本店さんでは蔵付き酵母の力と確かな手造り技術によって、玄米100%で塩分6%の味噌づくりに成功することが出来ました。私達も味噌ディップとして食べさせていただきましたが、「味噌だけなんてしょっぱそう・・・」という予想に反し、全くしょっぱさは気にならず驚きました。

 

現在は8種類もの味噌を作っているという石孫本店さん。今回の取材でも麹の割合や発酵年数が様々な味噌を、クラッカーにモッツァレラチーズと一緒にのせて試食させていただきました。どれも同じ味はなく、発酵の奥深さを改めて感じました。さらに、ガーリックマヨ和え味噌ディップなどもあり、意外な味噌の楽しみ方も知ることができました。

 

 

沢山の味噌の試食の中でもひときわ目立つ「黒味噌」。本来は発酵が進みすぎて販売できない味噌と思われていたところ、一般の方が偶然に食べて「美味しい!」といったところから商品化されました。小さな発見を逃さない石孫本店さんの強みをここでも実感。2年以上発酵させた黒味噌はフルーティで独特の甘みがありました。

我が子を育てるように

「発酵が進むにつれて色が変わる様子がかわいいんです。」
そんな石孫本店のみなさんの昼夜を問わず蔵の気温や状態を気遣う様子は、まるで子供を気遣う母親のようでした。また、若手の蔵人さんが酵母の研究所に行った際、匂いをかいで石孫本店の酵母だけは百発百中で当てるそうです。100年以上の歴史をもつ蔵と木桶についている石孫本店の蔵付き酵母もまた石孫本店の家族のような存在なのだなと思いました。

醤油の製造工程の様子

訪問した寒さの厳しい冬は醤油造りのシーズン。春になると味噌を作り始めるそうです。

醤油のもとになる麦を炒るための機械。昔は水車の動力を使って動かしていたとか。この機械の中では今は珍しい石炭を焚いているそうです。火事を防ぐためにも、火を使う作業は全て午前中に終わらせます。

 

 

 

 

蒸した大豆と炒った麦を混合して、麹蓋と呼ばれる板に麹を入れる様子。ただ混ぜているように思えますが、醤油造りで一番難しいのがこの麹の盛り込み具合だそうです。厚すぎず、薄すぎず、バランスよく盛り込むためには、まさに熟練の技が必要なのだなと感じました。

 

 

麹蓋が運ばれた室の様子。木炭と天窓の開閉で室温を昼夜問わず調整します。はじめは真っ白な麹はだんだん黄色になっていくそうです。1日に400枚もの麹蓋が運び入れらるそうです。

 

 

 

麹室に入れて室温を調整する木炭をつくる様子。炭だけでは高温になって危険かつすぐ消えてしまうので、藁を使うことで長く使えるように工夫がされています。これは「うずみ火」と呼ばれ、昔の人の知恵を学ぶことが出来ました。農業も機械化が進み、稲刈りと同時に藁も細断されてしまうため、長い状態での藁の入手は困難だそうです。そのため、石孫本店さんでは手刈りした藁を譲ってもらい、藁と炭は1年分契約して入手しているそうです。

 

室に4日間置いて完成した麹は桶に運ばれます。一つの桶にはなんと6,000 L以上も入るそうです。写真はまだいれたての麹なので白いですが、発酵が進み最終的にはチョコレート色に変化します。蔵が1棟ずつ独立しているため、ベルトコンベアの様な運搬機械が導入出来ないので、桶が一杯になるまで5人の蔵人さんが何度も何度も醤油麹を運ぶそうです。

 

 

昔ながらの伝統を守ると同時に、海外向けにも展開、新たな味噌・醤油の開発を進めるなど、発酵文化の未来を広げるフロンティアでもある石孫本店さん。徹底的にこだわる姿勢に美味しさの秘密を学ぶことが出来ました。

(玉木)

<調査協力>

有限会社 石孫本店
秋田県湯沢市岩崎字岩崎162
http://ishimago.main.jp/ 

 

 

 

 

2.3. いぶり漬け            前へ 次へ 目次

いぶり漬けとは

いぶり漬けとは大根などの野菜を糠漬け(乳酸発酵)にしたものです。他の漬物との大きな違いは、一般的な漬物は材料を天日干しにしてから発酵させることが多いですが、いぶり漬けはなんと燻製にしてから発酵させます。材料としては主に大根が使われますが、今回お話を伺った雄勝野きむらやでは人参のいぶり漬けも作っているそうです。

沢庵との違い

お弁当についている沢庵漬けといぶり漬けの違いは、大根を天日干しにしているか燻製にしているか、という大きな違いの他にもあります。例えば「色」です。沢庵漬けは鮮やかな黄色ですが、いぶり漬けは薄い茶色です。また、燻製にすることや低温発酵させることで、あまり発酵が進まないので、酸味より甘みの強いところがいぶり漬けの特徴です。

いぶり漬け誕生

なぜこの「燻製」にしてから発酵させるという独特な製法が生まれたのでしょうか。これには秋田県の気候が大きく関係しています。秋田県は日照時間が短く、また冬が長い豪雪地帯です。そのため、大根などの野菜を屋外で天日干しするということが難しいそうです。そこで屋内で野菜を干していたところ、囲炉裏の煙で燻され、それがいぶり漬けの「燻製」にして乾燥させるという独特な製法につながったそうです。

作り方

収穫した大根をわら縄などで編み込み、平均10本程度の連にして小屋の天井に吊るし、楢や桜などの広葉樹を5~6日、絶え間なく燃やして燻製にします。その間、大根がほどよく燻り乾燥されるように、注意を払いながら吊るす場所や火加減を調整します。燻した大根は、米ぬか、塩、ざらめ、近年は麹も加えて約2カ月漬け込めば完成です。

今回取材させていただいた昭和38年創業の雄勝野きむらやさん。いぶり漬けを「いぶりがっこ」という名前で売り出したのは雄勝野きむらやさんなのだそうです。

 

 

 

 

こだわり

燻すのに使う木材としては、広葉樹が匂いがまろやかで最適なのだそうです。中でも楢は油分が少なく燻すのに向いており、また、桜は匂いをつけるのに向いています。そのため、現在燻製に使用している木材は楢をベースに数本桜を入れているそうです。
いぶり漬けに使う大根は私たちが普段食べている青首大根より硬い白首大根(地大根)です。白首大根は”す”が入りやすいので、収穫したらすぐに燻製にする作業に入るそうです。

まさにいぶり漬けは鮮度が命ですね。

 

いただいたいぶり漬け(左)といぶりがっこふりかけ(中央)、お漬物(右)。いぶりがっこふりかけというのは初めて食べたのですが、とても美味しかったです。もちろんいぶり漬けとお漬物も美味しくいただきました。

 

 

お話をうかがった木村吉伸社長。来年からお店の一部を改築して試食もできる喫茶スペースを始められるそうです。お話から秋田の伝統食を守り繁栄させていこうという熱意を強く感じました。

(長谷川)

<調査協力>

株式会社 雄勝野きむらや
秋田県湯沢市下院内字常盤町91番地
http://www.iburigakko.com

 

 

 

 

2.4. その他の郷土食           前へ 次へ 目次

秋田初日の晩ご飯は、秋田に来たならきりたんぽ鍋が食べたい!ということで、横手駅近くの居酒屋さんに決定!横手やきそばときりたんぽ鍋をいただきました〜。

横手やきそば

秋田のB級グルメとして有名な横手やきそば。ご主人曰く、目玉焼きの黄身を割って、2日かけて作る特製ソースと一緒に麺にからめながら食べるのがオススメの食べ方だそうです。ソースがコクがあって美味しかったです。

特製ソースはグレイビーボートに入れられて出てきてちょっと感動(!?)これで2人前なのでボリューム満点でした。

きりたんぽ鍋

秋田と言えばきりたんぽ。あきたこまちを使って5時間じっくり焼き上げて作るのがご主人のこだわりだそうです。確かに鍋に入れても煮崩れせず、外はカリカリで中はお米一粒一粒の食感を楽しめました。シメは稲庭うどんでいただきました。

秋田県のお米から作られたきりたんぽはとても美味しかったです。また、比内地鶏やごぼうなど山菜も豊富で身も心も温まりました。

稲庭うどん

二日目のお昼ご飯にいただいたのが稲庭うどん。稲庭うどんは秋田南部の手延べ製法による干しうどんで、日本三大うどんの一つでもあります。

今回はかけうどんをいただきました。つるっとして細めの麺がちょっと甘めの出汁がとても美味しかったです。

 

3. 最後に                      前へ     目次

食文化調査を通して、伝統的な郷土料理を存続させていくには、時代にあった広報方法や新しい食べ方、そして何より材料の生産者と郷土料理の作り手が必要であると感じました。誇りと情熱を持って作られている郷土料理の美味しさをより多くの人に知ってもらえることに食文化調査が役立てられれば嬉しいです。(長谷川)

アンテナショップや通販等を通して気になった食を手に入れることができる時代ですが、食文化調査に参加することで、どのような背景で郷土料理が生まれて、製造工程が開発・改良されてきたのか知る貴重な機会となりました。また、実際に生産者から話しをきくことで、時代の変化に対応しながら食の味や製造を維持していくことの難しさを学ばせて頂きました。今回の食文化調査の経験を研究などに活かしていきたいです。(城間)

学校でも伝統的な職人の継承者が少ないこと、経験知識のデータ化が進んでいないことは習いましたが、実際に現場に行ってみて改めて日本の発酵文化や農業の危うさを痛感しました。何かアクションを起こしたいが、理系学生とはいえ学部2年の自分に今何ができることがあるのだろうか?というもどかしさを感じました。せっかく貴重な体験をさせていただいたので、自分達でもできることを模索していきたいと思います。(玉木)

 

 参考資料

・データブック オブ・ザ・ワールド 2014年版 世界核国要覧と最新統計(二宮書店)
・秋田県の地形・地盤:ジオテック株式会社
 (https://www.jiban.co.jp/tips/kihon/ground/prefecture/akita.htm)
・東北藩地図
 (http://onjweb.com/netbakumaz/touhoku.htm)
・改訂秋田県農産漁村村生活研究グループ協議会50周年記念 秋田郷味風土記 【ふるさと秋田の食百選】(秋田県農山漁村生活研究グループ協議会)
・すべてがわかる!「発酵食品」事典(世界文化社)
・味噌・醤油 | 秋田がギュッとつまったショッピングモール ~マルシェ・アキタノ~
 (http://umaimono.akita-kenmin.jp/ferment-museum/miso)
・醤油本(玄光社)
・ゆざわNavi(湯沢市観光物産協会)

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