先日(2016/12/22)、愛知県で栽培されている守口大根の母本選抜を見学してきました。守口大根は現在、愛知県と岐阜県で栽培されています。その中でも愛知県では、よりよいダイコンを後世に残すため、翌年の種を取るための元となるダイコン「母本」を選ぶ、母本選抜という行事を毎年行っています。今回は、食文化調査の一環として、この母本選抜の様子を見学させていただきました。

まずは今年の栽培計画や作柄などのレビューを行います。今シーズンは秋の天候不順の影響があるようで、状況的にはやや厳しいとのこと。

続いて各栽培農家さんが持ち込んだ守口大根を並べて品評会を行います。ポイントは一定の長さがあること、太さが均一であること、先端の形状がなだらかな楕円であることの3点。あとは病気にかかっていないことや虫食いされていないことなどが基準とされています。

生産農家・守口漬のメーカーの皆さんが選びます。今年は少し短いものが多いようでした。メディアクルーも多数、取材に来ていました。

形も長さもまちまちなので、ここから「優良品」を選びます。途中で曲がってるものもありますね。全部で33本選びます。

選抜された母本を手に記念撮影。左から3番目のかたが今回ご案内いただいた大和屋守口漬総本家の鈴木社長です。大変お世話になりました。ありがとうございました。

母本選抜の後は地元の方による好例の振る舞いランチ。お漬物3種(守口漬もありました)と炊き込みご飯、豚汁をごちそうになりました。豚汁の味噌は当然赤だし。赤だしで作った豚汁はまるでビーフシチューのような味わいでした。おいしかったー。

守口大根はすべて守口漬に用いられるとのこと。伝統野菜を守ると一口に言っても経済性がなければ守り続けるのも難しいため、守口漬の需要が守口大根の命運を握っていると言っても過言ではありません。今後、全国各地の食文化調査を通して、同じような問題に直面している伝統野菜やそれを守るための取り組みなどにもフォーカスしていければと考えています。